第5回 肝斑について
2009.01.30
『シミ』
シミと一言でいっても種類がいくつかあり、要因によって治療法も様々である。
日光性黒子、雀卵斑、肝斑、後天性真皮メラノサイトーシス、炎症性色素沈着
(PIH)などがあり、
その要因としては紫外線、家族性、物理的な刺激、女性ホルモンなどがあげられる。
以下各論(【治療】は推奨度順)
《日光性黒子》
治療前 QYAG照射後1週 照射後1ヶ月半
【好発年齢】
中年以降
【分布・性状】
露光部(両頬突出部)
形は不定形、大きさは米粒大~数センチ、境界明瞭、
単発、多発、ゆっくり増大
肥厚してきたものを脂漏性角化症と呼ぶ
【発症要因】
長期紫外線暴露
【治療】
①Q-ルビーレーザー
②Q-YAGレーザー
③I.P.L.(Acutipなど)による複数回治療
④トレチノイン+ハイドロキノン治療
《雀卵斑 そばかす》
治療前 I.P.L.(ライムライト)3回照射後

治療前 Q-YAG照射後2ヶ月
【好発年齢】
学童期に発症が多く、思春期に増悪し、老年期に軽快
色白の乾燥気味の肌に多い
【分布・性状】
鼻根部と頬に左右対称性に分布
1~4mm程度の褐色色素斑が顔面に不規則に多発
【発症要因】
家族性のことがあり、紫外線、妊娠により増悪
各種治療に比較的反応するが長期的に再発が多い
【治療】
①I.P.L.(ライムライトなど)
②Q-ルビーレーザー
③Q-YAGレーザー
④ケミカルピーリング
《肝斑》


治療前 トランサミン内服+HQ外用
+VitCイオン導入2ヶ月後

治療前 トランサミン内服+HQ外用2ヶ月
+Q-YAGレーザートーニング7回後
【好発年齢】
40代以降の女性の約50~80%(色素沈着の程度の差あり)
【分布・性状】
頬・こめかみ・額に左右対称性に、口唇にでることもある。
褐色でびまん性の色素斑、場合により網目状。
境界不鮮明だが、部位によりくっきり境界がでることもある。
【発症要因】
根本的な病因はまだ解明されていない
悪化因子として、紫外線、物理的な刺激、女性ホルモンの関与がある
【病因解明への展望・TOPIX】
トラネキサム酸(抗プラスミン作用)の内服が肝斑の色素沈着に著効する。
プラスミンによって遊離または活性化するメラノサイト刺激因子群がある。
2000年以降、これらの刺激因子のいくつかが、肝斑部組織(皮膚生検)
の免疫染色にて優位に存在していることが示されてきている。
2007年には韓国Kim氏により肝斑部は血管新生を伴っており、
メラノサイト刺激因子であるVEGF(vascular endothelial growth factor)
が肝斑部に優位に発生していることが示された。
【トラネキサム酸がイオン導入よりも内服の方が効く所以】
トラネキサム酸が最も効果を発揮している層は、メラノサイトの分布が最も多い基底層である。内服ではトラネキサム酸は真皮乳頭層の毛細血管から基底層に確実に移行しうる。一方イオン導入はトラネキサム酸をイオン化し、電流の反発によって角層より浸透させる方法だが、基底層まで届くほどの浸透性は弱いと考えられる。
【治療】
①トラネキサム酸内服(+ハイドロキノン+VitCイオン導入)
②トレチノイン+ハイドロキノン治療+抗炎症外用薬
【最近試みられている+α治療】
上記①の保存療法に加え、QYAGレーザーによるレーザートーニング
又は高波長帯(640nm以上)によるIPL療法
→改善効果までの時間短縮と肌質、毛穴、張りなどの+αの改善が期待できる。
ただし肝斑の状態により悪化させることもあるので適応は慎重となるべき。
後天性真皮メラノサイトーシスとPIHは次回コラムで




